台湾で能力不足を理由に解雇をする際の法的根拠
台湾の労働基準法第11条5項に「労働者が担当する職務に明らかに任に耐えられない」場合に、「雇用主は事前通告を行い労働契約を終止することができる」とあります。
台湾の最高法院による労働基準法第11条5項の見解は、「労働者の客観的な学識、品行、能力、心身状況を指すだけはなく、遂行能力があるにもかかわらず業務行わないという労働者が忠実に労務を行う原則に反する、という事も指すものとする。」とあります。
つまり、単に能力や品行といった外見的な判断だけでなく、労働者本人の労務に対する意欲姿勢も解雇に相当する判断材料となる、ということです。
この内容を見ると、日本の能力不足を理由に解雇をする場合と比べて、解雇しやすい環境にあるかもしれません。
能力不足を判断する基準は?
過去の判例から以下の条件であれば解雇が認められる可能性が高いです。
- 何回も定められた期限に業務を完了でできない。
- 言い訳をして業務の完了を遅らせる。
- 同じ職務の同僚と比較して、業務成績が明らかに劣る。
- 行為や態度が業務遂行や組織運営に影響を及ぼす。
- 業務態度が消極的で能動的でない
さらにこれらを証明する「証拠」や「記録」が必要となります。
例えば、業績記録、指導記録、出退勤記録(タイムカード)、監視カメラの記録など客観的に判断する内容になります。
これらの各証拠を取り添えたあと、労働者への事前通告を行うことが望ましいです。
もし証拠不足で解雇を提示した場合、恐らく労働局による労使調停もしくは労使争議に発展しますが、その際に証拠が出せなければ不当解雇として負ける可能性が高いです。
労働者への事前通告
労働者の勤続年数によって事前通告の対応が変わります。
- 勤続年数3ヶ月以上1年未満:10日前に事前通告
- 勤続年数1年以上3年未満:20日前に事前通告
- 勤続年数3年以上:30日前に事前通告
また労働者が事前通告を受け取ったあと、新たな就職先を探すために休暇を取ることができます。毎週2日以内の休暇で、休暇に給与は支給しなければならないです。
また、事前通告期間の賃金を払えば、即日労働契約を終止することができます。
事前通告後の対応
事前通告が終わったあと、各種の引継ぎや備品返却などの業務の他に、有給休暇や各種手当などの計算も必要になってきます。
このあたりをしっかり対応しておかないと、解雇された労働者が告訴する可能性がありますので、最後まで気が抜けないです。