台湾の休日制度
台湾では労働基準法によって休日や休暇に関する取り決めがあります。
台湾で発生する労働争議の約半分は賃金によるもので、その原因は残業代の計算や休日や休暇時の割増手当計算によるものが多いと思います。
日本では最近になって残業代請求の労使争議や裁判などの案件が徐々に増えてきているようですが、台湾では日本以上に労使争議や裁判などの案件数が多いです。
よって台湾に進出する日本企業は残業代や休日・休暇時の割増手当の制度の理解と制度に基づく支給を行うことがリスクを減らすことになります。
最初に対策を行っていないがために、後々労使争議や裁判による時間と費用の浪費、社会的信用の低下を招く可能性があります。
では台湾の休日制度はどのようなものでしょうか?
通常の休日
台湾の労働基準法代36条1項に「労働者は法定休日として、7日ごとに少なくとも2日を休日とする。うち1日を法定休日(例假日)で、もう1日を所定休日(休息日)とする。」とあります。
一般の企業ですと通常は土日が休みのため、
土曜日:所定休日(休息日)
日曜日:法定休日(例假日)
としているところがほとんどとなります。
参考までに通常労働時間の内容を紹介します。
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一般労働時間
労働時間:1週間で40時間/1日8時間
所定休日:1週1日
法定休日:1週1日
残業時間:1日=通常労働時間と併せて12時間以内
1月=46時間以内
(双方の同意があれば月54時間、3ヶ月138時間で調整可能)
また一般企業では連続7日以上出勤させることはできませんが、例えば百貨店や飲食店などのサービス業の場合は土日が出勤となることが多いので、休日を平日に設定したり、連続出勤させることができる「変形労働時間制」というものがあります。
ただしこの変形労働時間制を適応できる業種は決まっているので、予め自社の業種が敵を薄るかを確認し、労働組合もしくは労使合意を経て変形労働時間制を適用することになります。
変形労働時間制には職種によって3つのタイプがあります。
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2週変形労働時間
労働時間:2週間で上限80時間/1週48時間/1日10時間
所定休日:2週2日
法定休日:1週1日
対応可能業種:すべての職種 -
4週変形労働時間
労働時間:4週間で上限160時間/1週規定なし/1日10時間
所定休日:4週4日
法定休日:2週2日
対応可能業種:飲食業、コンビニ、銀行など -
8週変形労働時間
労働時間:8週間で上限320時間/1週48時間/1日8時間
所定休日:8週8日
法定休日:1週1日
対応可能業種:製造業、土木建築業、卸売り業、小売業など
この場合、法定休日と所定休日の曜日は労使間で取り決めや変更することができます。
労働者側の同意がない状況で、勝手に休日を定めることは労働基準法に反しますので注意が必要です。
台湾の国定休日
次に台湾も国定休日が全12日ほどあり、この政府が指定した休日は労働者を休ませる必要があるとしています。
- 元旦 1/1
- 大晦日と春節 旧暦12/31-1/3
- 和平紀念日 2/28
- 労働節 5/1
- 児童節 旧暦清明節の曜日によって調整
- 清明節 旧暦清明節に準ずる
- 端午節 旧暦5/5
- 中秋節 旧暦8/15
- 国慶日 10/10
休日の数は日本に比べると少ないです。
以前はもっと少なかったのですが、ここ数年で国定休日と他の休みとを併せて連休となるようにしています。
平日・休日時の割増手当及び残業代
割増手当及び残業代の計算方法は、平日や各休日によって変わりますので注意が必要になります。
社員が休日に出勤及び残業を行った場合、どの休日に当てはまるかを把握しておかなければ、計算を間違う可能性があります。
【平日出勤の出勤と残業代】
平日に残業を行った場合は、通常労働時間の8時間を超えてから残業代が発生します。
8〜10時間:時給x1.34
10〜12時間:時給x1.67
【所定休日(休息日)の出勤と残業代】
一般企業の場合で言う土曜日に出社した場合は、出勤してすぐに割増手当が発生します。
0〜2時間:時給x1.34
2〜8時間:時給x1.67
8〜12時間:時給x2.67
【法定休日(例假日)の出勤と残業代】
一般企業の場合で言う日曜日に出社した場合は、出勤してすぐに割増手当が発生します。
0〜8時間:1日賃金+代休
8〜12時間:時給x2.0
【国定休日/有給休暇の出勤と残業代】
国定休日に労働者に出勤をさせた場合、通常の1日分の給与にさらに1日分を追加する必要があります。
0〜8時間:1日賃金
8〜10時間:時給x1.34
10〜12時間:時給x1.67
【残業代支給例】
月給60,000元の社員が国定休日に4時間残業
60,000÷30日=2,000÷8時間=250元/時間
250元x(1.34x2時間)+250元x(1.67x2時間)=670元+835元=1505元
まとめ
台湾の割増手当や残業代の計算は複雑ですし、労働者の権利意識も高いため、支給額が少ない場合は労使間で問題に発生する可能性があります。
また工場など労働者の数が多い場合、その人数分の計算が必要になりますので、支給額も膨大な金額となります。
・台湾の残業代計算は複雑なため注意が必要
・台湾では日本で言う社労士がないため、給与や残業代計算は会計士が行う事が多い