台湾の健康保険や労働保険制度の基本
台湾には健康保険(健保)、労働者保障制度(勞保)、労働者退職金制度(勞退金)の社会保障制度があります。
・健康保険(健保) ⇒日本の健康保険に類似
・労働者保障制度(勞保) ⇒日本の労災保険/失業保険に類似
・労働者退職金制度(勞退金) ⇒日本の年金制度に類似
基本は日本の社会保険制度に類似していますので、内容を理解しやすいと思います。
とはいえ台湾で進出した際に、台湾人社員やアルバイトの健康保険や労働保険の費用はなかなかイメージがつかみにくいと思います。
今回はある日系飲食店を例に、健康保険や労働保険の費用がどれくらい掛かるかをご紹介したいと思います。
基本条件の設定
・日本人社員(兼事業主) 1人
・台湾人アルバイト 4人
*日本人社員(兼事業主)は居留証を取得済みだが、居留6ヶ月未満のため、健康保険の加入不可(労働者保障制度は加入可能)
*台湾人アルバイト4人のうち2人は別で健康保険に加入しているためこの会社では不要
健康保険(健保)の計算方法
保険料の負担割合:労働者:本人負担30%/事業主負担60%/政府負担10%
雇用主:全額負担
健康保険(健保)の標準報酬月額を
・アルバイト22,000元
として設定した場合、月々の保険金額は次のようになります。(2019年1月1日より23,100元が最低金額)
・アルバイト本人負担:310元*2人=620元/月
・事業主負担:997元*2人=1,994元/月
労働者保障制度(勞保)の計算方法
保険料の負担割合:労働者:本人負担20%/事業主負担70%/政府負担10%
労働者保障制度(勞保)の標準報酬月額を
・アルバイト13,500元
・日本人社員(兼事業主)34,800元
として設定した場合、月々の保険金額は次のようになります。
・アルバイト本人負担:284元*4人=1,136元/月
・日本人社員(兼事業主)負担:661元*1人=661元/月
・事業主負担:1,019元*4人+2,380元*1人=6,456元/月
*この上記金額には就業保険(失業保険)と職業災害保険が含まれています。
*また賃金立替補償金として、標準報酬月額の総額*0.025%(このケースだと18元)を支払う必要があります。
月々に事業主が支払う健康保険や労働保険の総額は、上記条件だと8,450元となります。
また事業主個人は労働保険の自己負担もありますし、居留6ヶ月以上となり健康保険加入となった場合は更に負担が増えます。
健康保険や労働保険は加入人数や標準報酬月額、政府の最低保険金額や利率の変更によってよく変化しますので、事業主は注意が必要となります。